後立山(長野/富山) 白馬岳(2932.3m) 2023年5月20日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:17 猿倉駐車場−−1:40 長走沢−−1:54 林道終点−−2:13 白馬尻小屋(トイレのみ)−−2:31 雪渓に乗る(標高1650m)−−3:33 夏道(葱平 標高2200m)−−3:59 小雪渓トラバース 4:05−−4:11 避難小屋−−4:51 村営頂上宿舎−−5:10 白馬山荘−−5:30 白馬岳 5:50−−6:05 白馬山荘−−6:20 村営頂上宿舎−−6:50 避難小屋−−6:54 小雪渓トラバース 6:59−−7:13 大雪渓に乗る(標高2200m) 7:16−−7:31 夏道(標高1650m) 7:33−−7:44 白馬尻小屋−−7:57 林道終点−−8:08 長走沢(水浴び) 8:12−−8:31 猿倉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町
年月日2023年7月2日 日帰り
天候曇後快晴!
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場猿倉に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無小雪渓トラバースは雪切されてはいるが徐々にダレてくるので滑落注意(特に下り)。大雪渓は落石以外は危険なし
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード
コメントウルップソウが期待できる時期になったので再び白馬岳へ。前日は前線通過で大雨だったが土曜夕方は雨量規制なしで猿倉へ入れた。夜半に雨が止んだが出発時は星は見えず。しかし徐々に雲が取れて予報通り快晴になった。山頂到着時は冷たい北寄りの風が強かったが時間経過と共に弱まった。雲が多かったのと空気の透明度はイマイチで概ね北信の山と北アルプスしか見えず。花の方は期待以上で花の夏山シーズン開幕と言っていい状況。ハクサンイチゲ、ウルップソウ、ミヤマキンバイ、オヤマノエンドウは満開状態。ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイも開花が進んであと1、2週間でお花畑が満開状態になりそう。まだツクモグサが残っていたがもう終盤。小雪渓のトラバースは雪切されており軽アイゼン+ストックで通過可能。ここの雪が消えるのはあと2週間程度かな。前日の大雨の影響で登山道のあちこちが沢になっていた


大雪渓最上部(左)と小雪渓トラバース(右)


夜中1時過ぎに出発 長走沢。増水して橋が無ければ渡るのは不可能
追い越された2人組の足跡 ケルンの先、標高1650m付近で雪渓に乗る
左岸に寄り過ぎて標高2100m付近で秋道登場。でもパスする 予想通り標高2200m付近で葱平の夏道に乗る
小雪渓。雪切されていた 小雪渓を振り返る
避難小屋。もう雪は無い 標高2480m付近
標高2540m付近 登山道が川になっている
ここも川。防水性がある新品の登山靴で正解だった ハクサンイチゲ
ツガザクラ ウルップソウ。ちょうど見頃
標高2670m付近 ハクサンイチゲのお花畑
今シーズン初のミヤマオダマキ ウルップソウ+ハクサンイチゲの群落
イワベンケイ 水源
杓子岳、鑓ヶ岳に朝日が当たる 村営頂上宿舎
ショウジョウバカマ シナノキンバイ
テント場は空。昨日は悪天だったからなぁ 県境稜線に到着。北風が強く冷たい!
ミヤマキンバイ。2週間前と同じ程度が咲いていた ミヤマダイコンソウ。まだ蕾が大半だった
オヤマノエンドウは花のピーク 白花のウルップソウ。ユウバリソウみたい
白馬山荘。小屋周辺に人影無し たぶんミヤマハタザオ
振り返る 階段を上がる。今回は霜は降りていなかった
シロウマオウギの蕾。花が真っ白なのが特徴 葉が細かく切れ込んでいるのでミヤマシオガマ
主にハクサンイチゲのお花畑 キバナノコマノツメ
白馬岳山頂を望む 青と白の中間色のウルップソウ
タカネヤハズハハコ ミヤマアマナ
白馬岳山頂 白馬岳南の肩
白馬岳から見た360度パノラマ写真(クリックで拡大)
白馬岳から見た常念山脈、槍穂
白馬岳から見た針ノ木岳。トラバースの雪はほぼ消えたようだ 白馬岳から見た立山、剱岳
白馬岳から見た丸山〜杓子岳鞍部。まだかろうじて雪渓が繋がっている 白馬岳から見た大雪渓
白馬岳から見た白馬尻。人の姿が確認できる ウルップソウとハクサンイチゲ
イワウメ まだツクモグサが咲き残っていた
雪渓入口で追い越した2人組 ミヤマハタザオ
コイワカガミ 県境稜線を離れる
ウルップソウの群落 村営頂上宿舎前から
シコタンソウの蕾。例年と同じ場所にあった シナノキンバイ。黄色の花の中では最大
ヤマガラシ まだ登りの人が見えない
お花畑を見上げる。まだ最盛期ではない ベニバナイチゴ
北風がブロックされ、雪が無いと暑い! ミヤマキンポウゲ。葱平より上部でたくさん見られる
避難小屋 小雪渓を上がってくる登山者
小雪渓を右岸から見上げる 小雪渓右岸から下を見る
ここまで来ると続々と上がってくる シナノキンバイ
ミヤマタネツケバナ カラマツソウとミヤマカラマツの両者が見られた
シロウマアサツキの蕾 オタカラコウかメタカラコウの蕾
葱平を見下ろす セリ科の何か
ミヤマキンポウゲと雪渓 クルマユリの蕾
ハクサンチドリ 大雪渓末端の上部。雪が切れている
葱平最下部。大雪渓と夏道の乗換場所(標高2200m) 葱平最下部から見上げる
標高2780m付近から上部を見る 標高2780m付近から下部を見る
標高1930m付近 標高1850m付近
標高1800m付近 標高1780m付近
夏道入口(標高1650m付近) 夏道に移行。暑い!
標高は低いが(標高1640m付近)ミヤマキンポゲの可能性大 ズダヤクシュ
エンレイソウ サンカヨウ
ミヤマカラマツ ここでも登山道が川化
キヌガサソウ まだニリンソウが咲いていた
白馬尻小屋上部。奥の建物がトイレ 白馬尻小屋下部
白馬尻から大雪渓を見上げる 標高1500m付近。やはりミヤマキンポウゲっぽい
まだ登山者と多くすれ違う 往路は増水で渡るのが面倒だった
タニウツギ オオバミゾホオズキ
モミジカラマツ。花はカラマツソウと同じ モミジカラマツは葉がモミジのようにギザギザしている
林道にも水が流れる オオカメノキかと思ったらミズキの花だった
往路ではかなり増水していたが帰りは問題ない程度に減水 ヤグルマソウ
ここでもまだ水が流れたまま 長走沢。ここで水浴びした
タネツケバナ テングクワガタ
長走沢から見た白馬岳 クルマムグラかなぁ
ニガナ 軽ワゴンが上がっていった
林道をショートカット ギンリョウソウ
今シーズン初のオニシモツケ シロバナニガナ
コナスビっぽい 猿倉第一駐車場。満車ではない


 7月に入ってそろそろ北アルプスの稜線でも夏の花が本格的に咲き始めた頃であり、ウルップソウの盛りを迎えているだろうと先週から次の行先は白馬岳と決めていた。

 しかし今週末は金曜日から土曜日にかけて大雨予報。特に土曜日はもろに大雨のさなかで、前線が北アルプスの真上に停滞して強風が予想され、傘を差しての登山も無理であろう。土曜日は素直に休養日として天候が回復するはずの日曜日に登ることにした。実際に土曜日は北アルプスが位置する県西部は朝から大雨で、大雨警報が出たり猿倉への県道が雨量規制で通行止めになったりと山登りどころの話ではなさそうであった。

 土曜日の日中は一時的に雨が弱まって猿倉への県道の通行止めも解除となり、夜にまた雨が強まる予報なので夕方に出発して猿倉を目指した。途中で雨が強くなって雨量規制が心配だったがどうにかゲートをクリア。猿倉駐車場に到着すると車は20台前後駐車していて思いのほか多くてびっくり。今日登ったとしたらずっと雨の中だっただろう。車中泊らしい室内灯が点いた車もあり、私と同じく天候の回復待ちだろう。予報では日付が変わったくらいから急速に天気が回復するはず。強い雨が車の屋根を叩く中で酒を飲んで寝た。今回は先週と違って睡眠時間は6時間以上確保できるので調子はいいだろう。雨は夜中に上がったようでいつのまにか静かになっていた。

 午前1時前に起床。空には星は見えないが雨は落ちていない。飯を食って1時半前に出発。今日は日曜だがこの時刻でも車が上がってくる。

 つい数時間前まで強い雨が降っていたので、いつもは乾いている林道上にも水が流れていた。長走沢は増水して先週のように飛び石で渡るのは不可能な状況で、橋が無ければ裸足て強い流れを渡るしかない状況であった。橋が無く路面上を小さな沢が横断する箇所はいつもなら全く問題なく跨げる程度の流れなのが、今回は飛んでも一歩目は流れの中に入ってしまうほどの水量でびっくり。今日は雪の上を歩くのでまだ防水性がある今年購入した登山靴なので水が染み込む心配は無いが、いつものボロい登山靴だったら最初から浸水していただろう。

 林道終点から登山道に入ると意外にも後方からライトの光が。私より歩くペースが速く徐々に光が迫ってきたので途中で追い越してもらうと若者男性2人であった。こんな時刻に歩くということは真っ暗な大雪渓をルートミスせず歩ける自信があるはずで、ここを歩いたことがあるのだろう。

 いつもは乾いている登山道上にも水が流れていて、登山道が横断する2本目の沢(橋は無い)はいつもなら簡単に渡れるが、今回は飛び石を選ばないと渡れないほど増水していた。その先は2週間前には雪があったが今は雪の欠片も無い。

 白馬尻に到着すると2人組が立ち止まっているので私が先行。2週間前はここから雪渓に乗れたが今は全く雪が無いので夏道を上がる。ここで再び2人組に追い越される。

 雪渓が登場したのはケルンより僅かに上の標高1650m付近。先着してアイゼン装着準備している2人組よりも私の方がアイゼン装着(6本爪軽アイゼン)が早く終わったので先行。あのペースで歩かれたらどうせまた追い越されるので「また追い越されるだろうけど」と2人に言い添えておいた。

 ネットの情報では雪の上にベンガラでマーキングしたと書かれていたが、大雨で流されたのか全く見えず。まあ、どうせ適当に歩いても大雪渓を外さなければいいので気にしないが。とは言え、その「外さない」が真っ暗闇の中をLEDライトの光だけで歩く時は難しい。大雪渓は幅が広いのでライトの光は端まで届かず、谷のどの辺にいるのか把握するのは困難である。端の方ににいても岸が見えなければ分からないので、枝沢の雪渓に引き込まれる可能性がある。頻繁に左右を照らして岸が見えないか確認する必要があるが、それでも常に雪渓の中心付近を歩けるわけではなく、帰宅後にGPSの軌跡を見ると左右に蛇行していたり・・・・ 今回は左岸に達するまで寄ってしまった。後続の2人組も私につられて左岸よりの妙なルートを登ってしまったのが遅れにつながったのかもしれない。雪渓を吹き降りる冷たい強い風が常に当たっているかも感じながら歩く必要あり。風が無くなったら雪渓の端に寄っている証拠だ。

 その雪渓を吹き降りる冷たい風のおかげで暑さを感じないどころか寒いくらいなので、途中から腕カバー、手袋、毛糸の帽子、ネックウォーマーを着用した。出発時に半ズボンにするか悩んだが、まだ夜間の雪渓歩きは長ズボンが正解であった。

 大雪渓上部で幅が狭くなりルートの不安が無くなるが、左岸側で雪渓が崩れた場所があり、まだ標高2200mに達していないがこのまま上がって雪渓が岸に繋がっているのか不安になる。明るい時間帯なら先の様子が見えるのでヤバそうだったら左岸に上がれるのだが。心配しつつも高度を上げてやや傾斜が出てきて、右手から沢音が大きくなると岬状の雪が無いエリアが出現し、そこには間違いなく夏道の階段があった。高度はまさに標高2200mであり予定通り。後方を見ると明かりが2つ見えている。こちらに近い一つは2人組のものだろうから、離れた下方の明かりは後発の登山者のものだろう。

 この先は小雪渓まで雪は無いので軽アイゼンを脱いで夏道を上がる。2週間前よりもミヤマキンポウゲの開花が進んでいるが、まだ花のピークではない。前回より出発時刻を遅らせて小雪渓通過時に明るくなるように時間設定したので、雪切されたトラバース箇所を見落とすことは無いだろう。既に周囲は少し明るくなって遠方の様子が見えるようになっていた。東の空は雲が多く雲海で志賀高原の山々は雲の下だが、県境稜線はすっきり晴れている。右手の高い位置には小雪渓をトラバースし終わった際に夏道に上陸する大きな岩が見えている。あのてっぺんが小雪渓左岸側着地点だ。

 ちょうど夏道が雪に埋もれる場所が小雪渓のトラバース開始ポイントで、大雨でダレてしまってはいるが雪切されたルートがはっきりと確認できる。雨の影響で足跡は残っていない。軽アイゼンを付けて軽ピッケルを左手に持って出発。雪切されているのでピッケルは過剰装備だったかな。でもストックはあった方がいいだろう。雪は思ったより固くはないので登りならアイゼンは不要かもしれない。距離は100〜200m程でトラバース完了。この先はもうアイゼンの出番は無いので収納。県境稜線方面にはまだ雪渓が続いていてショートカット可能であった。

 雪が完全に消えた避難小屋を通過して緩く広い谷間のお花畑の登山道に出ると、昨日の大雨の影響で登山道が沢になっていた。白馬岳はおそらく20回以上は登っていると思うがこんな光景は初めて。下山時は水量は減っていたがまだ流れがあった。

 まだ谷底だが稜線では北寄りの風が強いようでここでも冷たい北風が感じられ、半袖のままでは寒いので雪渓歩きのままの防寒装備で歩いた。

 高山植物の開花は順調に進んでいて、今回はハクサンイチゲが盛りを迎えていた。狙い通りウルップソウも開花のピーク。全体的な花のピークは2週間後くらいだろうか。その頃には梅雨明けしているといいが。

 村営頂上宿舎が近付くと例年通りミヤマオダマキが出迎える。まだ蕾だがシコタンソウが大岩にへばりついてマット状になっているのも例年通り。水源の雪渓末端で給水。まだ半分雪に埋もれたままのパイプから水が噴き出して雪を溶かして溝状になっていた。この雪渓周辺は雪解けが遅いので、雪が無い場所で花が終わってからも花が楽しめる場所である。

 昨日は荒天だったので宿泊者は少なかったようで、村営頂上宿舎周辺に人の姿は皆無だった。県境稜線に出る前に風対策で長袖シャツ、ウィンドブレーカ、ジャンパーを追加した。ゴアを除いて防寒装備フル出動である。今いる場所はまだ日陰だが、雲海から太陽が出てきたようで丸山や杓子岳に朝日が差す。

 稜線に出ると冷たい北風に晒される。まだ前線が近いはずなので風が強いのは仕方ないが、行動に支障をきたすほどの風速ではない。白馬山荘の宿泊者も少なかったようで、白馬岳山頂方面にも人の姿は全く見えない。登山道脇には2週間前より格段に緑と花が増えていた。前回はツクモグサの存在感が大きかったが、今回は緑に埋もれて白馬山荘までの間では見つけることができないほど。今の主役はウルップソウ、オヤマノエンドウ、ミヤマキンバイにハクサンイチゲである。白花のウルップソウも見つけることができた。

 無人の白馬山荘前に出ていつものように東に進路を変えて稜線沿いの登山道へ。こちらの方が花が多いのである。前回はここで山荘宿泊者とすれ違ったが今回は無人のまま。木の階段は前回は霜が降りてツルツルだったが今回は霜は無し。階段周囲にはまだツクモグサが咲き残っていたがもう終盤だった。最も多いのはハクサンイチゲで相変わらずウルップソウも目立つ存在。その他にミヤマアマナ、キバナノコマノツメ、ミヤマシオガマ、それにシロウマオウギの蕾も。白馬岳ではイワオウギの仲間は4種類(イワオウギ、シロウマオウギ、タイツリオウギ、リシリオウギ)見られるそうだが、私にはそれらを完全に見分けるのはまだ難しい。帰宅後にネットで調べたところ、唯一、花が真っ白なのがシロウマオウギで、それ以外は薄い黄色がかった花とのことで、この蕾は間違いなく真っ白なのでシロウマオウギ確定。なお、イワオウギだけは草丈が高く、花が上下方向に並んで数が多く豪華な印象を受けるので、これも区別はできそうである。

 冷たい風に吹かれて鼻水をすすりながら白馬岳山頂へ。南を振り返ると槍穂が見えているが霞んでいて、今日は空気の透明度がイマイチらしい。雲海に沈んでいるのか、それとも霞んで見えないのか分からないが、八ヶ岳も南アルプスも富士山も見えなかった。

 山頂に到着するとトレランナーらしい軽装の3人組が大はしゃぎで写真撮影中。少なくとも今日大雪渓から登ってきたわけではないのは確かで、白馬山荘で宿泊したか、それとも栂池方面から登ってきたかであろう。会話の内容からすると後者のようであり、栂池方面へ下っていった。その後も栂池方面から登山者がやってきて、昨日の悪天ではロープウェイ経由での入山の方が多かったようだ。いや、あの天気で山に入るのが凄いとしか言えないか。

 山頂は風が強く冷たいし、空気の透明度がイマイチなので2週間前同様に短時間の休憩で下山開始とした。前回は杓子岳に立ち寄ったが、今日は日曜日で明日は会社があるのでできるだけ早く帰宅して休養しないと仕事がきつくなるので、今回はまっすぐ下山だ。ただし充分明るくなったので帰りは花の写真を撮影しながらであり、スローペースだが。

 今日が日曜日だということもあるだろう、土曜日なら下山時には村営頂上宿舎直下付近からすれ違う登山者に遭遇するのだが、今回は標高2500m付近まで下ってから初めてすれ違い、次の遭遇は小雪渓まで下ってからであった。その後は出発のタイミングを合わせたかのように続々と上がってくる。往路では谷間でも北風がそれなりに強かったが今は風は収まって日差しが痛いくらいに暑い! 私は麦わら帽子で頭から首、肩にかけて日影を作っているのでまだマシだが、これでも暑くて首には濡れタオルを巻いている。雪渓歩きの間はまだいいが、葱平で夏道に取り付いて一気の急な登りはきついだろう。大雪渓上にも人の姿が多く、今回は計100名以上はいたと思う。

 小雪渓を通過して大雪渓へ。下りは吹き降りる風が追い風になるので風が感じられず、片手は扇を持って扇ぎながら下った。今回は6本爪の軽アイゼンだが、爪が短いし季節が進んで雪渓の雪が固くなってきたので、10本爪よりもグリップが弱く足の置き方を考えないとスリップする。まあ、ここならコケてもそのまま滑落するような傾斜ではないので問題ないが、だんだんと雪の汚れが目立つようになってきたのでコケるとズボンの汚れの方が気になるかも。

 大雪渓歩きを終えて夏道に出る場所は、2週間前にシラネアオイやオオサクラソウが見られた傾斜の緩い左岸地帯よりも標高が高いので、今回はこれらの花は見られなかった。もっとも今の時期でもまだ咲いているのか不明であるが。大雪渓入口では何人もの登山者がアイゼン装着中。アイゼンを付けるより脱ぐ方が早いので後から到着した私の方が先に準備を終えて出発した。

 夏道に乗って以降もまだまだ登りの登山者とすれ違いが多い。白馬尻周辺ではミヤマキンポウゲと同じ花が咲いていたが、これくらいの標高で生えているものか疑問でウマノアシガタに違いないと思っていたが、今回は花だけでなく茎や葉をよく観察してみた。帰宅後にネットでミヤマキンポウゲとウマノアシガタの違いを調べた結果、花弁の付き方(ミヤマキンポウゲ:花弁が重なり合って隙間が無い ウマノアシガタ:花弁の間に隙間がある)の他に茎の毛に差があることが判明。ウマノアシガタは明瞭な毛が生えているとのことで、今回見たものはほんの少しだけ毛があるが無毛と言っていい程度であり、花弁の重なり方と合わせればミヤマキンポウゲとの判定になる。これは残雪が多い大雪渓沿い特有の現象だとは思うが、標高1500mくらいでもミヤマキンポウゲはあり得ると初めて知った。

 林道に出てからも花を探しながら歩く。ここでもまだ登りの登山者がいるが、さすがにこの時刻だと日帰りはあり得ないだろう。天気は相変わらず快晴で日差しが差すように痛いくらいであった。林道上に流れていた水や林道を横断する枝沢の水量は往路より減っていたが、まだまだ通常時より増えたままであった。その増水した長走沢で帰りがけに水浴び。この天気では下りでも大汗をかくのは仕方ない。

 林道歩きが終わって猿倉駐車場に到着するとまだ満車にはなっていなかったが、今日は日曜日だからだろう。駐車場からは白馬岳山頂がすっきりと見えていた。

 

山域別2000m峰リスト

 

ホームページトップ